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【
プロフィール】
マキトハヤシ
アーカムメディア担当
短い旅に出た老執事スティーブンスの心を去来する数々の記憶。
亡き父の後姿、第二次世界大戦、そして彼の元を去っていった同僚たち。
他愛もない会話や出会いですら二度と戻って来ることはない事実を
ふとした瞬間に思い知らされる残酷さ、苦さ。
作者であるカズオ・イシグロは日本語をほとんど話せないらしい。
長崎生まれではあるが人生のほぼ全てをイギリスで過ごしている
彼にとって日本は、むしろ遠い国なのである。
だから彼の作品は日本的な情緒とか湿っぽさと全く無縁か、といえば
これがそうでもない。
細やかな情景描写、そして登場人物の心理の流れを流暢に紡いでゆく
手腕は、ある一面では非欧州的な感性に肉付けられているとも言える。
けれども方向性は完全にヨーロッパ的な記憶の渦に溶け込んでいるので、
意識的に探らない限りそれを発見することはできないかもしれない。
表面上はまるでヘンリー・ジェイムズの小説みたいである。
しかし物語も後半、成就しなかった恋の顛末を回想する辺りから物語は
突然ロマンスの様相を呈してくる。
第二次大戦前夜、大国間の思惑が交錯するディナーパーティーの
裏で吹き消されかけてしまった思いを、数十年振りにかつての
仕事仲間に伝えに行く終盤は涙がとまらない。
久々に心のベスト10入りを果たした作
品。
びさの熱い野球漫画です!番場蛮以来の感動を覚えました。ぜひ読んでみて!
キューバ革命の英雄チェ・ゲバラをモチーフにしたポスター『光を放つチェ』、チェスの駒を手榴弾に見立てた『軍のチェス大会』。
独特の極彩色は日本でも馴染み深いラスタに似ている。
シルクスクリーンを思わせる厚みのある質感は、フラットカラーというテクニックによるものだ。
このカタログを手にして僕はふと不思議に思った。
キューバのポスターが何故こんなにも魅力的に見えるのか?
私達の知る社会主義国家のイメージは、暗い影が付きまとう。
秘密警察の暗躍、激しい思想弾圧、宗教の不寛容、個性の抑圧・・・。
しかしそれはシステムが疲弊しきった末期の姿である。
「われわれの敵は帝国主義だ。抽象美術ではない」こう言ったカストロの
比較的寛容な支配の基で、キューバの芸術家達は多少自由な立場で
創作できた、という歴史的な奇跡も考慮すべきか。
しかし彼等は当然豊かではなかった。
金持ちや貴族の支配に縛られない社会、という全く新らしい思想が実現し
た瞬間、人々は全国民の平等なんて青臭い理想を半分疑いつつも、
「とりあえずこの国で生活し続けよう。もしかしたら凄いことが待ってるかもしれない」といった期待を抱いたに違いない。
このポスター集を印象深くしている要因はそういった、覚えたての楽器を
朝から晩まで爪弾く微熱感覚にも似た雰囲気かもしれない。
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